経営の課題を新たな開発ツールで解決 鈴廣蒲鉾本店様
株式会社鈴廣蒲鉾本店(以下、鈴廣)は、日本国内におけるGeneXusのヘビーユーザーとして知られている。
導入5年目を迎え、鈴廣におけるシステム構築成功の秘訣と今後の課題について
同社システム部の吉田敏之部長に伺った。
聞き手:株式会社ウイング 代表取締役 樋山 証一
基幹系システムの再構築に経営が立ち上がった
樋山:まず、鈴廣の基幹システム再構築についてお話をお聞かせください。
吉田:6年前ほどになりますが、当時使っていた基幹系システムの再構築を行うことになりました。以前のシステムはVisual Basicで構築しており、システム構築は外部のベンダーにお願いしていました。当時の基幹系システムは経営的に3つの難点を抱えていました。
まず一つ目が、変化への対応時間の遅さです。経営システム上の課題としては、販売管理、生産管理などの基幹業務の柔軟な変更や、システム部門内のスキル管理など新しい取り組みへのチャレンジ、というテーマが手付かずでした。また、その当時は、システムの改変にはとても長いプロセスを必要としました。最初に要求事項を我々が現場から聞き、それをベンダーに伝え、最終的にベンダーがシステム仕様書に落とします。その内容がOKであれば、見積もりをし、さらに発注書を書き、そして開発に着手するというステップです。順調な場合は、このステップで済みますが、通常、仕様の漏れや、金額交渉など何度も繰り返すことになります。経営者としてはこうしたことを続けて機会損失を増やしていることに不満を持ちます。システムが経営の足を引っ張っていたわけです。
樋山:なるほど。経営として「今、ここでやるべきだ。」と判断した時に、業務を支えるシステムがついてこられない、といった状況だったわけですね。
吉田:二つ目が、システムにかかる費用です。データベースのサポートが切れる、OSのサポートが切れるというたびに、膨大な時間とお金をかけて移行作業を行っていました。同じシステムを移行するので、何ら付加価値を生まない作業です。さらに、基幹系システムですから動かなくなると業務が止まるので、動作確認は入念に行うことが必要です。システムの外注費に加えて、こうした運用費が年々増大し、経営を圧迫していました。
樋山:私も、多くの会社の経営者の方から同様の悩みをよく伺います。「システムの保守運用費は当然のように毎年上がっていく。売上減少に伴い、人件費にまで手をつけようかと苦しんでいるのに、システムというのは金くい虫だ。」という経営者の声です。本来は経営戦略実現のために採用しているシステムであるのに、残念なことです。
吉田:最後の三つ目は、社内の人材育成です。外部のベンダーの方にお願いしていたときは、社内の情報システム部の役目はいわば取次のようなものでした。現場の業務もあまり知らず、自分たちで使っているシステムを触ることもできず、といった状態でした。かといって、システム要員がゼロでいいかというと、やはり現場との“通訳”は必要でした。 他の部署からみると、「情報システム部は何をしてくれているのだろう」という専門性が見えなくなっていました。つまり、人が育ちにくい状態にあったわけです。
そうした中、経営トップの号令の下、2006年に基幹業務システムのリニューアル・プロジェクトがスタートしました。
鈴廣がGeneXusを選択した理由
樋山:再構築において、GeneXusを選択されたわけですが、その理由は何だったのでしょうか?
吉田:まずは、システム開発における生産性の高さです。これまでのVisual Basicに比べると、我々の実績で約2倍の生産性があることがわかりました。システム開発では仕様変更はつきものです。一旦、私が確認したシステム設計書でも、抜けがあることも発生します。そうした開発中の修正にどれだけ素早く対応できるかは、プロジェクト全体のスケジュールに大きく関わってきます。
樋山:具体的には、どのような点でGaneXusは優れているのでしょう?
吉田:私が感じているのは、データの項目追加や削除ですね。通常、データ項目を変更すると、影響のあるソースコードや他のテーブル定義情報を変更しなければなりません。その確認作業が大変であるため、プログラマーはデータ項目の変更を嫌がります。変更漏れが原因で新たなエラーを引き起こすことが多いからです。ところがGeneXusは、自動的に影響のある個所を修正してくれるのです。これはとても便利な機能です。
樋山:エンジニアの方にGeneXusを使っていただくと、すぐにファンになっていただけるのも、このあたりだと思います。自動でシステム化できる部分はツールが片づけてしまう、という機能です。
吉田:次の採用理由はコストです。GeneXusのライセンスなどは初期費用として他のツールと大差はありませんが、中期的にみるとかなり割安になります。特に、マルチプラットフォーム、マルチデータベース対応という特徴が優れています。例えばOSやデータベースがバージョンアップしても、私たちが経営と現場が一緒になって磨き続けてきた業務システムを、そのまま移行できます。経営者は付加価値のない費用支出を嫌います。その点、GeneXusは、OSやデータベースの変更による移行作業から逃れることができる素晴らしいツールです。
経営ニーズの読み取りと現場とのコミュニケーションが鍵
樋山:現在の鈴廣のシステム運用についてお聞かせください。
吉田:現在、私の他に4名の情報システム部員がいます。うち、開発が3名、保守が1名です。GeneXusで開発されたシステムは10以上の業務に達し、経営戦略に影響を受けない業務以外はすべてGeneXusで開発しています。さらに自社内で運用保守ができるので経営者のやりたいことを優先して開発していこうとしています。また、グループ7社のシステムは、このメンバーで運用しています。
樋山:システム開発のリクエストは、どのような手順で上がってくるのでしょうか?
吉田:毎月行われる経営会議で、経営戦略の展開として指示が下りてくるものと、現場からのリクエストで上がってくるものと両方あります。たくさんの指示を受けていますが、情報システム部ではその経営的背景、必要性及び必要時期については承知しています。
また、各現場とは情報システム部員2名ずつで半期に一回ミーティングを持ち、改善すべきテーマについて話をしています。これとは別に、システムを納入した1カ月後にユーザー部門を訪ね、不具合が無いかの確認をしています。普段から現場とのコミュニケーションの場を持つことで、ちょっとした問題の解決も早められますし、大幅な改修の際は、現場の協力を得られるようになっています。
樋山:たくさんの開発案件があるとおっしゃられましたが、開発の優先順位はどのように決めているのでしょうか?
吉田:システム設計書、ファイルレイアウト、システムフローは、すべて私がチェックします。私自身でこれらを書くことも多いです。その上で全体の優先順位を決めていきます。
成功の鍵は、経営のコミットメント、自社内製化、優れたツール
樋山:システム再構築から約5年が経ったわけですが、社内の評価はいかがでしょうか?
吉田:再構築プロジェクトについては、開発期間、コスト、いずれも当初の計画の範囲で済ませることができました。再構築後も、ECサイトの構築やスキル管理などにも展開し、高い評価を受けていますので、成功と言ってもいいのではないでしょうか。
樋山:改めて振り返ると、成功の鍵は、どこにあったのでしょうか?
吉田:第一に、経営者が業務システムの価値を認め、それを再構築することに対し熱意を持って取り組んでいたことです。鈴廣の経営を強くするために迅速に業務システムを稼働させ、運用保守をきちんと実行する、という目標を設定し、経営トップがコミットメントしたからです。
次に挙げられるのは、情報システムの内製化です。鈴廣だけでは足りない部分はウイングさんにお願いしてサポートを受けていますが、今では、ほとんどの開発案件を社内だけで開発できています。見積もりや発注という対外的な作業は必要なく、付加価値の高い仕事に集中できます。また、開発経験が増えることに社内のメンバーのスキルも上がっていきますから、開発効率はますます上がっていると思います。
最後のポイントはGeneXusという優れたツールです。経営トップのコミットメントや社内の優秀な人材だけでは、システム構築を成功に導くことはできません。今回出合ったGeneXusは、ユーザー企業が自分たちで業務プロセスを改善し、それをテンポ良くシステムに反映させることができる、優れたツールなのです。
今後のGeneXusに期待するところ
樋山:最後に、今後のGeneXusに期待するところをお聞かせください。
吉田:次のテーマとして、スマートフォンとタブレットPCへの対応があります。年々進化するシステム環境に対応するためのサポートをよろしくお願いいたします。
技術的な面では、デバッグ機能の強化でしょうか。Visual Basicのようにブレークポイントで値が取れるといいですね。それと、解説本やマニュアル本が欲しいです。その意味で、年々増加するGeneXusユーザーにとって待望となるこの書籍を皆が喜ぶのではないでしょうか。
樋山:この書籍をきっかけに、さらに多くのGeneXusユーザーが生まれると思います。私たちもこれから多くの企業様を支援する中で受けるご要望も取り入れながら、書籍のコンテンツも充実させていきたいと考えています。
本日は、経営目標の達成と社内の組織強化を、GeneXusというツールで実現した実例として貴重なお話を伺うことができました。どうもありがとうございました。